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版画家「水落 啓」さん [じぶん]

先日、私の篠笛の先生(以下、立平先生)がFacebookに
「父の遺作展示を見に、上野の東京都美術館に行ってきました。
今後はもう、大きな美術館に展示されることはないかもしれないので。
まもなく一周忌。」
と投稿されていました。

実は数年前に都内で開催されたお父様の個展で、篠笛の演奏もやるからと
お誘いいただいたのですが、仕事が立て込んでしまい、失礼してしまいました。
その後は立平先生も独立されたりして忙しくなってきたこともあったのでしょうが
お父様のお噂を聞くこともなく…
昨年の夏ごろ「具合が悪い」とお伺いした数か月後に急逝されました。
ご葬儀は太鼓チームでお香典と代表者が参列すると聞いて失礼してしまい…

そんな失礼が重なっていたことを思い出し、ぜひ行こうと思い立ちました。
カレンダーを見たら最終日の午前中なら行ける!
台風が迫る雨の上野は、西洋美術館の北斎、科博のアンデス文明を目指す人で
いっぱいでした。
どちらも惹かれますが「上野滞在時間40分」の私はまっすぐ東京都美術館へ!

たくさんの作品が並ぶ中、水落 啓さんの作品はまるで違う世界にいました。
「織姫と彦星」「浦島太郎」というテーマのせいもあると思うのですが、
一枚の絵なのに絵本を見ているようにストーリーが見えてきて…
思わず微笑んでしまうあたたかさと
おそらく小さな魚の目までこだわっているであろう表現の緻密さ。

う~ん、言葉ではとても表現できません。

私の文章はよく「大げさ」と言われるのですが、大げさでもなんでもなく
本当に作品の前で固まっていました。ずっと見ていたかった。
それと同時に「あのとき個展に行っていれば」と激しい後悔も襲ってきました。
お父様の版画の技術は、息子である立平先生の笛にも活かされています。
金箔で篠笛に模様を施したものは他にはなく、ファンも多いです。
私も赤い笛に桜を散らしたものを使わせていただいているのに。
お元気なうちにお会いしてもっと作品を見せていただきたかった。
悔しい悔しい悔しいとつぶやきながら、上野駅へ向かいました。

帰りの電車の中で水落 啓さんのブログ(※)を見つけました。
作品同様、お人柄のあたたかさがよくわかるブログの中で作品も紹介されていました。
見れば見るほど素晴らしい。もっと作品を生で拝見したい。
今後はどうするのだろうと立平先生にFacebookのコメントでお伺いしてみたら、
まずは英語のWebページで世界に作品を発信して
海外で個展をできるようにしたいと思っているとのこと。

また出会える日を楽しみに待ちたいと思います。

(※)水落 啓さんのブログ、ご興味のある方はぜひ探してみてください。
お名前よりも「版画草子」で検索した方が早く見つかります。

FullSizeRender-s.jpg
私が使わせていただいている“桜”の篠笛です。

IMG_7205-s.jpg
上野に行ってくると言ったら「おみやげ~!」
時間が早かったせいかこれしか見つけられなかった…(苦笑)


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